はじめに
後発医薬品調剤体制加算とは薬を後発品(ジェネリック)へ変更した率が高いほど高い点数を算定することができる加算のことです。
1処方箋受付ごとに算定できるので、この加算が算定できると薬局の収益を大幅に上げることができます。
後発医薬品調剤体制加算1,2,3の区分
直近3か月の変更率の数値によって3段階の区分があります。
【後発医薬品調剤体制加算1】(21点)
後発品変更率が80%以上
【後発医薬品調剤体制加算2】(28点)
後発品変更率が85%以上
【後発医薬品調剤体制加算3】(30点)
後発品変更率が90%以上
例えば直近3か月の後発品変更率が82%だった場合、後発医薬品調剤体制加算1の80%以上に該当するので1処方箋受付ごとに21点を算定することができます。
1か月あたり600枚の処方箋を受けている薬局であれば
21点×10円×600枚=126000円
なので後発医薬品調剤体制加算1を算定できれば1か月あたりの技術料が126000円もアップするわけです。大きいですね。
後発医薬品変更率の計算式
直近3か月に使用した数値をいれて計算します。
後発医薬品の規格単位数量/後発品のある先発品の規格単位数量+後発品の規格単位数量
となります。
規格単位数量とは
後発医薬品変更率の計算に使用する数値の単位である規格単位数量とは、薬価基準上の規格単位ごとに数えた数量のことです。
つまりA点眼5ml1本、B点眼5ml1本で処方されていて薬価本等に記載されいている単位がA点眼はmlでB点眼は本であれば点眼1本あたりの規格単位数量はA点眼は5(mlのため)B点眼は1(本のため)というふうになります。
シップも枚のものとgのものがあるので注意が必要です。
後発医薬品調剤体制加算算定のための届け出について
毎月月末に後発品変更率を上記の式で計算し、後発医薬品調剤体制加算の算定要件未達成から達成になった場合、逆に達成していたのに未達成になってしまった場合、または今まで算定していた区分から別の区分へ変更になる場合は厚生局への届け出が必要になります。
前月と同じ区分で算定継続の場合は届け出不要です。
【ポイント1】
後発医薬品調剤体制加算2から1への変更等いままで算定していた区分からの変更の場合は新たに後発医薬品調剤体制加算1の届け出だけではなく後発医薬品調剤体制加算2の辞退届けも提出する必要があるので注意です。
【ポイント2】
4~6月の3か月分6月末に計算した結果が後発医薬品調剤体制加算の算定要件を満たすようになった時、7月中に必要書類を厚生局へ届け出すれば8月から後発医薬品調剤体制加算が算定可能になります。
しかり7月に届け出する際に厚生局の7月の最初の開局日に届け出ができれば7月から後発医薬品調剤体制加算を算定することが可能になります。
逆に今まで算定できていたけど4~6月の後発医薬品変更率が80%未満になってしまった場合は7月中に辞退届けを提出することになります。
この場合7月中はいままで通り後発医薬品調剤体制加算を算定可能で、8月から算定できなくなります。
しかし7月中の後発医薬品変更率を上げて8月の厚生局の最初の開局日に再度届け出をすれば7月も8月も後発医薬品調剤体制加算を算定することができます。
例外について
【例外1】
後発品の変更率が80%以上あっても「カットオフ値」という値が50%以上ないと後発医薬品調剤体制加算は算定することができません。
※カットオフ値とは:使用した全医薬品のうちの「後発品のある先発品と後発品の合計」の割合の値のことです。
つまり後発品の無い先発医薬品を使用すればするほど値は下がってしまいます。
【例外2】
後発医薬品への変更率が低いと後発医薬品調剤体制加算が算定できないばかりではなく点数がマイナスされてしまう場合があります。
具体的には変更率が50%以下だと-5点となってしまうので注意しましょう。
ただし変更率50%以下でも1か月あたりの処方箋受付枚数が60以下であれば-5点されずに済みます。
おわりに
後発医薬品調剤体制加算は算定できると処方受付ごとに加算がとれるので薬局の収益がとても上がります。
少しでも後発医薬品変更率を上げる技としては
初回アンケートの時に
【後発医薬品への変更を希望しますか?】
(はい・いいえ)
だけではなく
(はい・いいえ・どちらでもよい)
とするか、もしくは
【ジェネリック医薬品をご存じですか?】
(はい・いいえ)
を記載してジェネリック医薬品の説明をするきっかけを作ったり
【同じ成分で飲みやすいお薬があれば変更を希望しますか?】
(はい・いいえ)
の欄をつくりジェネリックを勧めるきっかけを作る等の方法が効果的です。
以上です。
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