はじめに
自家製剤加算とは、その名の通り自家(自分の薬局)で、製剤(剤型を変えたり、半錠したり)したときに算定できる点数です。
しかし算定できる場合と算定できない場合があるので、まとめておきます。
完璧に理解する為には1調剤と1剤の違いを理解しておく必要があります。
1調剤と1剤の違いを知りたい方は「麻薬加算・向精神薬、覚醒剤原料、毒薬加算とは」のページに記載してあるので読んでみてください。
点数について
まずは点数一覧を記載しておきます。
1調剤(1剤とほぼ同義)ごとに算定できます。
【内服薬(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エキス剤)】
投与日数が7またはその端数が増すごとに20点※1(予製のときは4点)※2
※1投与日数が7またはその端数が増すごとに20点とは
日数 | 点数 |
1~7日 | 20点 |
8~14日 | 40点 |
15~21日 | 60点 |
ということです。わかりにくいですね。
※2予製とは、よく処方される薬などをあらかじめ作っておいたもののことです。
【内服薬(液剤)】
45点(予製のときは9点)
【頓服薬(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エキス剤)】
90点(予製のときは18点)
【頓服薬(液剤)】
45点(予製のときは9点)
【外用薬(錠剤、トローチ剤、軟・硬膏剤、パップ剤、リニメント剤、坐剤)】
90点(予製のときは18点)
【外用薬(点眼剤、点耳剤、点鼻剤、浣腸剤)】
75点(予製のときは15点)
【外用薬(液剤)】
45点(予製のときは9点)
錠剤を分割した場合は、予製の時の点数しか算定できません。
いつ算定できるか
そのままの薬の状態では対応がむずかしい場合に、医師の指示に基づき、使用しやすいような状態へ製剤したときに算定できます。
【例として】
- 錠剤を粉砕して散剤にした
- 薬を溶解して無菌の点眼剤を製剤した
- 薬に基剤を加えてトローチや坐剤を製剤した
- 錠剤を分割した
などです。
算定できない場合
製剤してつくったものと同じ薬(同一剤型で同一有効成分のもの)が薬価基準に収載されているときは算定できません。つまり、もとからあるようなものを作っても基本的には算定できませんよということです。
同じ調剤(剤とほぼ同義)で計量混合加算を算定している場合も算定できません。
ポイントや例外
ポイントや例外1
昔は錠剤に割線という線が入っていない場合は錠剤を1錠から0.5錠に分割したとしても自家製剤加算は算定できませんでした。
しかし現在は割線がなくても算定できるようになりました。
でも、その場合はレセプト錠のコメントに製造工程を記載する必要あります。
【例1】医師の指示によりA錠を半錠ばさみにより分割した。
【例2】医師の指示により、A錠を粉砕機により粉剤し、3号ふるいにかけた。
などです。
ポイントや例外2
A錠を粉砕してA散とした場合、A散というものが薬価基準に収載されていた時には自家製剤加算は基本的には算定できませんが、A散を使用すると服用時の薬の体積が大きくなり服用がむずかしくなってしまうので、あえてA錠を粉砕した場合などは、その旨をレセプトコメントに記載することによって自家製剤加算を算定できる場合もあるようです。
ポイントや例外3
錠剤の分割は、すでに存在する規格の組み合わせによって対応が可能でも、自家製剤加算で製剤した規格そのものが薬価基準に収載されていなければ算定できます。
【例】
100mg、200mg、600mgの規格があるA錠で600mgを半錠して300mgを製剤した場合。
答え.算定できる。
※A錠に300mgの規格がない為。(医師の指示があり、半錠後の安定性が問題ないこと前提)
【例】
200mg錠、300mg錠、500mg錠の規格があるB錠で200mg錠を半錠して1回量500mgで使用してもらう為にB錠剤200mg 1回2.5錠服用というかたちでお渡しした。
答え.算定できない。
※100mg錠は存在しないので算定できそうだが、1回500mgで使用するために製剤したものであり、500mg錠が存在するので算定不可となります。(カロナールなどが該当します。)
おわりに
自家製剤加算はこれぐらい覚えておけば、大丈夫だと思います。
重要なのは1調剤と1剤の違いが分かること。
医師の指示が必要ということ。
すでに存在するものを自家製剤として作った場合は基本的には算定できないこと。
みたいな感じです。
ありがとうございました。
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