時間外加算とは、休日加算とは、深夜加算とは

新人薬剤師のお役立ち

はじめに

この記事では【時間外加算】【休日加算】【深夜加算】の3つの違いについて書いていきます。

よく間違えられる【夜間・休日等加算(40点)】とは別のものなので注意です。

よく間違えられる【夜間・休日等加算】についての説明はこちら→【夜間・休日等加算とは】

時間外加算、休日加算、深夜加算の基礎

基本的にこれら3つの加算は薬局の開局時間外、開局日以外でシャッターが閉まっている状態から患者の要請等により、わざわざシャッターを開けてから処方箋を受付けると算定できます。(例外あり)

算定した場合は薬歴または調剤録に受付け時間を記載する必要があります。

【時間外加算】【休日加算】【深夜加算】は【夜間・休日等加算(40点)】とくらべると手間がかかるので、点数も大幅に上がります。

点数は処方箋入力時にレセコンが自動で計算してくれますが、イメージとしては。

「調剤基本料、薬剤調製料、調剤管理料、地域支援体制加算、連携強化加算、後発医薬品調剤体制加算、薬剤調製料、無菌製剤処理加算、在宅患者調剤加算」の合計点数を基礎額として、通常の処方箋受付け時の基礎額を1倍とすると【時間外加算】【休日加算】【深夜加算】のいずれかを算定した場合に基礎額が2~3倍になります。

【時間外加算】算定時は基礎額の100分の100が加算されます。

【休日加算】算定時は基礎額の100分の140が加算されます。

【深夜加算】算定時は基礎額の100分の200が加算されます。

わかりにくいですよね?私も初めて見たときは「え?何言ってんだ?」って感じでした。

具体的にいうと基礎額が125点だった場合

【時間外加算】算定時は基礎額の100分の100が加算されるので

基礎額の125点とは別に時間外加算として125点を上乗せで算定できます。

式 125点×100/100=125点

【休日加算】算定時は基礎額の100分の140が加算されるので

基礎額の125点とは別に休日加算として175点を上乗せで算定できます。

式 125点×140/100=175点

【深夜加算】算定時は基礎額の100分の200が加算されるので

基礎額の125点とは別に深夜加算として250点を上乗せで算定できます。

式 125点×200/100=250点

こんな感じです。再度言いますが計算はレセコンがやってくれるので夜間・休日等加算の40点とくらべると時間外加算、休日加算、深夜加算は点数がとても上がると覚えておいてくれればOKです。

時間外加算いつとれる

~ざっくり説明~

開局時間外の薬局閉めている時に、処方箋を受付ける為に薬局を開けて午前6時~8時、午後6時~10時に受付けすると算定できます。(例外あり)

~しっかり説明~

  1. 薬局が届け出た開局時間以外の時間で、深夜を除いた午前6時~8時、午後6時~10時に処方箋を受付けた時に算定可能。
  2. 日曜日、祝日、12月29日~1月3日以外の日を終日休業日としている場合、その日に処方箋受付けた時にも算定可能。

1.2いずれの場合も薬局が閉まっている状態からその処方箋を受ける為にわざわざ薬局を開けなければ算定できない。

【例外1】近くの医療機関が休日当番で開院したので、それに合わせて薬局も通常であれば休業の日に開局した場合は時間外加算は算定できない。(そのかわり夜間・休日等加算は算定できる)

【例外2】救急医療確保の為に国や地方公共団体によって開設された夜間における救急医療確保のために設けられている薬局では、通常通り開局している状態で処方箋を受けても時間外加算を算定できる。

休日加算いつとれる

前提として休日加算が算定できる日は日曜日、祝日、12月29~1月3日のみです。

~ざっくり説明~

日曜日、祝日、12月29~1月3日で薬局が休業日として閉めている日に、処方箋を受付ける為に薬局を開けて深夜加算の対象外の時間(午後10時~午前6時以外)で受付けすると算定できます。(例外あり)

~しっかり説明~

  1. 上記のように日曜日、祝日、12月29~1月3日で薬局が休業日として閉めている日に、処方箋を受付ける為に薬局を開けて深夜加算の対象外の時間(午後10時~午前6時以外)で受付けすると算定できます。
  2. 地域医療確保ため、休日当番として薬局を開いたり救急医療対策のためにつくられた施設で処方箋受付けた時も算定可能。

※休日当番でも近隣の医療機関があけたので、それに合わせて開局した場合は休日加算は算定できない。(夜間・休日等加算は算定可)

【例外1】近隣の医療機関の開院と合わせての開局ではなく、休日の薬局当番(輪番)として開局した場合や、客観的にみて休日の救急医療確保の為に開局している場合※1は処方箋を受付ける為にシャッター閉まった状態からわざわざ開けて受付けしなくても算定可能

※1客観的にみて休日の救急医療確保の為に開局している場合とは

  • 自分の薬局のみ、又は近くの薬局や地域の薬剤師会と連携し緊急時にも対応できる体制があること
  • 定期の患者や在宅患者に緊急連絡先を教えていること
  • 薬局の臨時開局日を掲示などで事前に地域の人たちに知らせておくこと
  • 休日も対応可の薬局の情報を載せている市町村の広報誌やインターネットで知らせていること

【例外2】24時間開局している薬局も上記の客観的にみて休日の救急医療確保の為に開局している場合の条件をクリアすれば休日加算を算定することができる。

深夜加算いつとれる

~ざっくり説明~

開局時間外の薬局閉めている時に、処方箋を受付ける為に薬局を開けて午後10時~午前6時に受付けすると算定できます。(例外あり)

~詳細説明~

午後10時~午前6時の間にシャッター閉まっている状態から処方箋を受付ける為に薬局を開けて受付けしたら算定できる。

午後10時~午前6時の時間帯が通常営業の薬局では算定できない。

【例外1】輪番制による深夜当番として開局している場合や客観的にみて休日の救急医療確保の為に開局している場合は処方箋を受付ける為にシャッター閉まった状態からわざわざ開けて受付けしなくても算定可能

【例外2】24時間開局している薬局も上記の客観的にみて休日の救急医療確保の為に開局している場合の条件をクリアすれば休日加算を算定することができる。

例題いろいろ

【例題1】土曜日の開局時間が午前9時~午後1時までの薬局で午後1時に薬局閉めたが、患者の要請等により午後6時に薬局開けて受付けした。

A.時間外加算を算定できる

※通常の開局時間外であり、1度閉めた薬局を開けており、時間外加算を算定可能な午前6時~午前8時、午後6時~午後10時の時間内の受付けの為時間外加算を算定可

【例題2】土曜日の開局時間が午前9時~午後1時までの薬局で午後1時に薬局閉めたが、患者の要請等により午後2時に薬局開けて受付けした。

A.夜間・休日等加算を算定できる(時間外加算は算定できない)

※開局時間外であり、1度閉めてから開けているが、時間外加算の算定可能時間外なので時間外加算は算定できない。しかり夜間・休日等加算は算定できる。

【例題3】土曜日を1日まるまる休みにしている薬局が、患者の要請等により処方箋受付ける為に薬局開けて午後2時に受付け

A.時間外加算を算定できる

※薬局が閉まっている状態から開けていてるが、時間外加算算定できる時間外なので時間外加算は算定できないよう思うが、例外として休日加算の対象となる日(日曜日、祝日、12月29~1月3日)以外を休日としている薬局は、薬局が届け出ている休日にシャッターあけて処方箋受付けた場合に深夜加算算定可能な時間帯以外では時間外加算を算定することができる。

【例題4】日曜日を休日としている薬局が患者からの要請によりシャッター閉まっている状態から開けて午後2時に受付けした

A.休日加算算を算定できる

※休日加算を算定できる日は日曜日、祝日、12月29日~1月3日なので休日加算算定可

【例題5】日曜日を休日としている薬局が患者からの要請によりシャッター閉まっている状態から開けて午後11時に受付けした

A.深夜加算を算定できる

※休日加算の算定要件と深夜加算の算定要件と満たしているようみえるが、その場合は深夜加算が優先されるので深夜加算を算定する

【例題6】12月29日~1月3日を休業日として届け出ている薬局が患者の要請等により閉まっていた薬局を開けて午前8時に受付け

A.休日加算を算定できる

※時間外加算も休日加算もどちらの算定要件も満たしているようみえるが、その場合は休日加算が優先される

【例題7】12月29日~1月3日を休業日として届け出していない薬局が通常通り12月29日に開局し、営業時間内の午前9時に処方箋受付け

A.夜間・休日等加算

※12月29日を薬局の休日としていないので休日加算は算定不可。しかし日曜日、祝日、12月29~1月3日に営業していれば夜間・休日等加算は算定できる。

【例題8】休業日として届け出を出している日曜日に、近くの医療機関が休日当番として開院したことと合わせて薬局も開局し処方箋を受付けた

A.夜間・休日等加算

※休日当番医のための開院と合わせての開局の場合は時間外加算、休日加算、深夜加算は算定できない。しかし夜間・休日等加算は算定できる

【例題9】休業日として届け出を出している日曜日に、近くの医療機関が休日当番として開院しているわけではなく、救急医療対策として輪番などによる休日当番保険薬局として開けておいて午後2時に処方箋受付けた

A.休日加算を算定できる可能性がある

※休日における地域の救急医療確保のための調剤を行う体制として認められれるために以下の4つの条件をクリアすれば算定可

  • 自分の薬局のみ、又は近くの薬局や地域の薬剤師会と連携し緊急時にも対応できる体制があること
  • 定期の患者や在宅患者に緊急連絡先を教えていること
  • 薬局の臨時開局日を掲示などで事前に地域の人たちに知らせておくこと
  • 休日も対応可の薬局の情報を載せている市町村の広報誌やインターネットで知らせていること

【例題10】平日に午前9時~午後6時まで営業する薬局で午後6時に薬局閉めたあとに患者の要請等で薬局開けて午後8時に処方箋受付け、その後薬局閉める前にもう1人来局し、その方の処方箋も受付けた

A.1人目、2人目ともに時間外加算算定できる

※1人目は通常通り時間外加算を算定、2人目の受付けは、2人目の為にわざわざ薬局開けたわけではない。しかしこのような続きで来局したパターンでは2人目も時間外加算算定できることになっている。

受付の時間が深夜になった場合も深夜加算で同じように対応することができる。

おわりに

時間外加算、休日加算、深夜加算についてはだいたいこれぐらいのパターンを分かっていれば、ほぼ大丈夫だと思います。

よく間違えやすい「夜間・休日等加算」との違いも理解しておくとよりよいと思います。

薬局の点数に詳しくなりたい方はAmazonで数百円で購入できる本の「調剤業務実務必携」がおすすめです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました