はじめに
服薬情報等提供料については「なんとなく知っている」「部分的には知っている」という方が多いと思います。
こちらの記事を読んでいただければ服薬情報等提供料マスターになれると思いますのでよろしくお願いします。
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【それぞれの加算へのショートカット】
服薬情報等提供料の種類
服薬情報提供料には
- 服薬情報等提供料1
- 服薬情報等提供料2
- 服薬情報等提供料3
の3つがあります。
簡単な違いはこんな感じです。
服薬情報等提供料1 | 服薬情報等提供料2 | 服薬情報等提供料3 | |
回数の縛り | 月1回まで | 月1回まで | 3か月に1回まで |
点数 | 30点 | 20点 | 50点 |
求め | 医師からの求め | 患者の求め または 薬剤師判断 | 入院予定 の 医療機関 |
難易度 | ふつう | やさしい | ふつう |
※1,2,3,をそれぞれ同じ月に1回ずつ算定することは可能だが同じ医療機関に同じような内容の情報提供をした場合は不可。
例
医師の求めにより服薬状態の詳細確認があったので患者に確認してベタヒスチンの昼食後のコンプライアンスが悪く実は残薬が結構あることが確認できたので、その旨をDrに文書で報告して服薬情報等提供料1を算定した。
↓
同一月にメトホルミンの昼食後のコンプライアンスも悪かったことが発覚して後日薬局から文書でメトホルミンのコンプライアンスも悪かった旨伝えて服薬情報提等供料2を算定。
この場合は同一医療機関にコンプライアンスの報告ととなるので後からやった服薬情報等提供料2は算定不可となります。
2回目の報告がコンプライアンス関係とは別件。例えば「メトホルミン錠500mgの錠剤のサイズが少し大きく飲みにくいようなので次回メトホルミン錠250mg2錠への変更等の検討をお願いします。」
というような報告であれば服薬情報等提供料2も算定可能だと思います。
服薬情報等提供料1について!
こちらの点数は月に1回のみ算定可能です。
1回30点算定できます。
ポイント
医師からの求めに応じて服用状況や体調変化、残薬等の情報を提供した際に算定できます。
医師からの求めがなければ、どんなに素晴らしい情報提供をしたとしても服薬情報等提供料1は算定できません。
電子薬歴を使用しているのであれば電子薬歴のなかに服薬情報提供文書を印刷できる項目があるので、そちらに提供したい情報を記載して医療機関に渡しましょう。
薬歴には情報提供した内容を記載して、次回来局時の会計時に通常の会計と一緒に服薬情報等提供料1を算定しましょう。
レセプトの摘要欄に服薬情報等提供料1を算定した旨も記載しましょう。
服薬情報等提供料2について!
こちらの点数は服薬情報等提供料1,2,3の中で一番とりやすい点数です。
1か月に1回のみ算定可能です。
1回20点算定できます。
ポイント
患者もしくは患者家族からの求め、または薬剤師判断にて情報提供をした場合に算定できます。
情報提供をする先は患者や患者家族でもいいし、医療機関への提供でも大丈夫です。
医師の求めが無くても算定できるので算定しやすいです。
患者や患者家族から何かの情報提供を求められた時(飲み合わせの確認等)電話や直接どちらでもよいので必要な情報を伝えます。
その後薬歴に提供した内容を記載、次回来局時に通常の会計と一緒に服薬情報等提供料2を算定しましょう。
レセプトの摘要欄に服薬情報等提供料2を算定した旨も記載しましょう。
服薬情報等提供料2の算定例(実際の流れ)
【飲み合わせチェックの場合】
患者からの電話(以後患と記載)「いつも使っている薬と市販の頭痛薬は併用できますか?」
薬剤師(以後薬と記載)「いつも使用している薬を確認させていただきました。他の薬局からもらっている薬はありますか?」
患「他からもらっている薬は特にないです。」
薬「使用する予定の頭痛薬の名称を教えてください。」
患「頭痛ナオールEXです」
薬「成分確認します。少々お待ちください、、、成分確認できました併用問題ないです。胃の不快感や日中の眠気が少しでる可能性のある薬なので注意して使用してください。」
患「わかりました。ありがとうございました。」
※ここで薬歴に電話問い合わせの内容と情報提供した内容を記載しておく。
~後日電話問い合わせの患者さんが来局~
薬「先日電話でお問い合わせいただいた頭痛薬は問題なく使用できましたか?」
患「はい、大丈夫でした。ありがとうございました。」
薬「また飲み合わせなど気になることがありましたらご連絡ください。」
※通常の会計に服薬情報等提供料2を追加した金額のお会計をいただく。薬歴には情報提供後のフォローも記載しておく。
※薬歴の記載例
電話問い合わせ時:定期薬とOTCの頭痛ナオールEXの併用についての問い合わせあり。現在使用中の定期薬、併用薬確認。併用問題なしとお伝え。
次回来局時:先日電話問い合わせのあった頭痛ナオールEX問題なく使用できたこと確認。
こんな感じです。
【次回残薬調節希望の場合】
※薬局内での服薬指導時の会話です。
薬剤師(以後薬と記載)「余ってきている薬はありますか?」
患者(以後患と記載)「そういえばリマプロストが以前多めに処方されたものが20日分ぐらいあまっているよ。」
薬「不要な分処方日数減らしてお会計お安くできますがいかがいたしますか?」
患「そうなんだ。今日は急いでいるから次回20日分減らしてくれ。」
薬「では薬局から先生の方にその旨伝えておきますね。」
患「よろしく。」
※ここで薬歴に「リマプロストの残薬があるが今回お急ぎの為残薬調節できず、次回20日分の残薬調整希望。その旨を服薬情報提供文書にて処方医に報告済」と記載しておく。
服薬情報提供文書(電子薬歴のなかにテンプレートが入っていると思います)に「リマプロスト錠20日分残薬があり、本日お急ぎの為次回20日分の日数調節希望です。よろしくお願いします。」と記載して処方医に報告。
次回来局時に服薬情報等提供料2を算定する。
他にもこんなかんじで患者や患者家族からの会話で得られた情報で次回の診察時に薬に立ちそうものを薬剤師判断でDrに情報提供をした場合にも算定できます。(上記と同じく次回来局時の算定が無難)
極端なことを言えばコンプライアンス不良の患者の情報を処方元に「コンプライアンス不良のようです。」と伝えても算定できます。
あと結構大切なのは患者や患者家族から情報が得られた時に「そうなんですね。先生にも伝えておきますね。」と言っておいた方がトラブルになりにくいと思います。
服薬情報等提供料3について!
こちらの点数は3か月に1回算定できます。
1回50点です。
ポイント
入院予定の患者さんの情報を医療機関からの求めに応じて情報提供した場合に算定可能。
自分の薬局で渡している薬だけではなく併用薬等も一元的に把握して情報提供をする必要がある。
お薬手帳の記載内容が古かったり、漏れがありそうな場合は患者や患者家族に行っている薬局やクリニックを聞いて、こちらからその薬局やクリニックに連絡して服用状況や処方薬を確認して情報提供する必要があります。
服薬情報等提供料を算定するための事前準備
服薬情報提供料を算定するには患者さんの同意が必要です。
初めて来局された場合に記載してもらう新患アンケートで同意をとっておくとスムーズかと思います。
また患者さんが薬局でしか話していないかもしれない内容を医療機関に情報提供する場合は患者さんに「先生にも一応伝えておきますね。」と伝えておいたほうがトラブルになる可能性が低くなります。
おわり
以上です。意外と算定できそうですよね!
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他にも意外ととりやすい加算をまとめた記事「意外ととれるぞ!薬局の加算」もありますので気になるかたはチェックお願いします。
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