在宅患者訪問薬剤管理指導料とは

新人薬剤師のお役立ち

はじめに

在宅患者訪問薬剤管理指導料とは居宅などで療養を行っている通院が困難な方に対して薬剤師が訪問して薬の管理や服薬指導を行ったときに算定できる点数のことです。

点数の種類

在宅患者訪問薬剤管理指導料は同じ建物内にいる患者数や服薬指導の方法によって点数が変わります

在宅患者訪問薬剤管理指導料1:650点

同一建物内の患者が1人の時

在宅患者訪問薬剤管理指導料2:320点

同一建物内の患者が2人以上9人以下の時

在宅患者訪問薬剤管理指導料3:290点

上記1,2以外のとき。例えば同一建物内の患者が10人以上など。

在宅患者オンライン薬剤管理指導料:59点

例外はありますが、同じ建物内に患者が多いほど点数は低くなるという感じです。

【例外1】

1つの患家で同一世帯であり同居している患者の場合は、2人以上いてもそれぞれ単一建物内の患者が1人の時の点数である在宅患者訪問薬剤管理指導料1の650点を算定できます。

【例外2】

単一建物内に自分の薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者が複数人いても、患者数がその建物の戸数の10%以下ならば在宅患者訪問薬剤管理指導料1の650点を算定できます。

つまり400戸が集まっているマンションで患者9人に対して在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する場合、人数は9人なので在宅患者訪問薬剤管理指導料2の320点になりそうですが、400戸の10%以下の人数なので9人それぞれから在宅患者訪問薬剤管理指導料1の650点を算定できます。

【例外3】

単一建物内の戸数が20戸未満のところで建物内の患者数が2人以下の場合は、患者2人いるので在宅患者訪問薬剤管理指導料2の320点になりそうですが、この場合も例外的にそれぞれから在宅患者訪問薬剤管理指導料1の650点を算定できます。

算定するためにやらなければならないこと

・在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する旨をあらかじめ地方厚生局に届け出しておく。

・薬学的管理指導計画をつくり、訪問して服薬指導や薬の管理を行い、行った内容を医師に文書で提出する。

薬学的管理指導計画書について知りたい方はこちら→薬学的管理指導計画書とは

【流れ】

地方厚生局に届け出

   ↓

在宅指示のある処方箋を受付ける

   ↓

訪問して服薬指導や薬の管理、体調変化等をチェック

   ↓

行った内容や状況を医師に文書にて報告

というような感じです。

注意点、ポイント

・地方厚生局への届け出と医師の指示が必要。

・1人で受診することが困難な方にしか算定できない。つまり、介助なしで来局できる人には算定できない。

・医療機関への入院や介護老人保健施設に入所している人のところへ訪問して指導しても算定できない。

・医師がいる介護老人保健施設、養護老人ホーム、軽費老人ホームA型、特別養護老人ホームなどは算定できない。

・医師が不在の軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などは算定できる。

保険薬剤師1人につき在宅患者訪問薬剤管理指導と在宅患者オンライン薬剤管理指導料は合計で週に40回までしか算定できない。

・在宅患者訪問薬剤管理指導料または在宅患者オンライン薬剤管理指導料を合わせて月に2回以上とるときは算定する間隔を6日以上にしなければならない。例外として末期のがん患者や中心静脈栄養療法の患者は週に2回かつ月8回まで算定できる。

・介護保険による要支援や要介護の認定を受けている患者は在宅患者訪問薬剤管理指導料ではなく居宅療養管理指導費を優先する。

・在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した月は外来服薬支援料1と服薬情報提供料は算定できない。

・在宅患者訪問薬剤管理指導料と在宅患者緊急時等共同指導料は同日中に算定できない。

・患者家から16km圏内に対応可能な薬局がないなどの理由が無い限り薬局から16km以上離れたところにいる患者に対して算定できない。

・薬歴には訪問日、訪問した薬剤師の氏名、医師から提供された情報、訪問時に実施した内容、患者の体調変化、医師に提供した訪問結果に関する要点、他の医療関係職種とやりとりした情報の要点を記載する。

・施設入所者の場合、施設職員に指導を行い患者本人の状態を確認していない場合は算定できない

・在宅患者のオンラインでの服薬指導は情報通信機器を用いて薬局内で行う。

・オンライン指導をした薬を患者に配送する場合は受領の確認を行う。

・オンラインの場合も算定できる間隔は、通常の場合と同じ。

・在宅患者訪問薬剤管理指導料と在宅患者オンライン薬剤管理指導料との空けなければならない間隔も同じ。

在宅患者訪問薬剤管理指導料に係る加算

条件をみたすと在宅患者訪問薬剤管理指導料に追加で加算を算定できます。

【麻薬指導加算】:100点

(オンラインの場合は22点)

・麻薬の投薬がある場合に使用状況、残薬の状況、保管状況、体調変化をチェックし必要な指導と医師への情報提供を行う。

【在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算】:250点

(オンラインの場合は算定不可)

・医療用麻薬持続注射療法を行っている場合に使用状況、残薬の状況、保管状況、疼痛緩和の状況、体調変化をチェックし必要な指導と医師への情報提供を行う。

・麻薬小売業者の免許と高度管理医療機器の販売業の許可を受けている必要がある。

【乳幼児加算】:100点

(オンラインの場合は12点)

・6歳未満の乳幼児に管理指導を行う。

・通常の確認、指導の他に体重の確認も行う。

【小児特定加算】:450点

(オンラインの場合は350点)

障害児である18歳未満の人に管理指導を行う。

【在宅中心静脈栄養加算】:150点

(オンラインの場合は算定不可)

・中心静脈栄養法を行っている人に管理指導を行う。

・投薬環境、保管方法、配合変化防止の対応の確認、指導も行う。

・2種類以上の注射薬を同時に使用する時は必要に応じて他の医療関係者にも配合変化を回避するための指導を行う。

・高度管理医療機器の販売業の許可か管理医療機器の販売業の届け出をしている必要あり。

おわりに

在宅患者訪問薬剤管理指導料についてはこれぐらい知っておけば大丈夫だと思います。

毎回行わなければならないことを書いたチェックシートを作っておいて、それを漏らさずに実行すればスムーズかと思います。

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