はじめに
特定薬剤管理指導加算とは、他の薬剤にくらべて安全管理が必要な薬が処方されているときに、それが問題なく使用できているかをしっかりとチェックし、指導したときにとれる加算です。
特定薬剤管理指導加算1と特定薬剤管理指導加算2があり、1と2の条件が結構違うので、それぞれまとめておきます。
1と2の点数の違い
特定薬剤管理指導加算1:10点
比較的算定しやすい。
・処方箋受付1回につき1回算定可能
・安全管理が必要な薬※1全般が対象
特定薬剤管理指導加算2:100点
比較的算定しにくい。
・1か月に1回のみしか算定できない。
・悪性腫瘍の治療中のみ算定可能
※1:安全管理が必要な薬とは抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬、抗てんかん薬、抗不整脈薬、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、精神神経用薬、糖尿病薬、抗HIV薬、血栓予防薬(内服)、カリウム製剤(注射)など厚生労働大臣が定めるもののこと。
特定薬剤管理指導加算1とは
特定薬剤管理指導加算1とは安全管理が必要な薬※1全般が対象で、それが処方されたときにその薬が安全管理が必要な薬であることを伝え、これまでの指導内容をふまえた指導を行ったときに算定できる加算です。
特定薬剤管理指導加算1の注意点、ポイント
・処方箋受付1回につき1回算定できる。
・処方箋中に安全管理が必要な薬が複数含まれているときは、そのすべての管理指導を行う必要がある。(使用状況や体調変化のチェックなど)
・指導内容を薬歴に記載する。
・安全管理が必要な薬に分類されている薬が処方されていても、別な適用で処方されている場合は対象とならない。(例えば不整脈の治療薬が不整脈ではなく高血圧薬として使用されている場合など)
・同じ月に在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費、介護予防居宅療養管理指導費を算定している場合は特定薬剤管理指導加算1を算定できないが、例外として「安全管理が必要な薬」に分類されている薬が、その患者の管理指導計画書※2で管理されている以外の治療で処方されば場合は算定可能。
※2:管理指導計画書を知りたい人はこちら→管理指導計画書とは
特定薬剤管理指導加算2とは
特定薬剤管理指導加算2とは、悪性腫瘍の治療をしている患者に対して抗悪性腫瘍が適正に使用できているかをチェックしたときに算定できる加算です。
算定するためには施設基準をクリアして地方厚生局に届け出が必要です。
患者同意のもと電話などで「使用状況、体調変化」をチェックして医療機関に文書で情報提供も必要です。患者の治療計画や副作用の発生状況を医療機関からの文書などで確認しておく必要もあります。
特定薬剤管理指導加算2の注意点、ポイント
・施設基準(クリアしなければならない条件)をクリアして地方厚生局に届け出が必要。
【施設基準4つ】
1、保険薬剤師経験5年以上の薬剤師が勤務していること。(他の医療機関での薬剤師経験が1年以上あれば、1年を上限として経験期間に含めてOK)
2、患者のプライバシーに配慮していること。(独立カウンター、パーテーションなど)
3、麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導ができること。
4、常勤の薬剤師が保険医療機関が実施する抗悪性腫瘍薬の化学療法に関する勉強会や研修会に年1回以上参加していること。
・1か月に1回のみしか算定できない。
・悪性腫瘍の化学療法を行っている患者に対しては、患者持参の書類や医療機関のホームページなどで治療内容(レジメン)を確認して患者の情報を把握しておく。
・患者の体調をチェックした際に重大な副作用など急をようする体調変化があった場合は、受診を勧める等必要な対応を行う。
・体調変化をチェックした際の情報(体調変化、使用状況、併用薬など)は患者同意を得たうえで医療機関に文書で情報提供する。
・特定薬剤管理指導加算2は悪性腫瘍の治療に関する薬の使用に対して行うが、それとは別に特定薬剤管理指導加算1の対象となる薬についても指導を行った場合は特定薬剤管理指導加算の1と2を同時に算定することもできる。
・同じ月に在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費、介護予防居宅療養管理指導費を算定している場合は特定薬剤管理指導加算2を算定できないが、例外として「安全管理が必要な薬」に分類されている薬が、その患者の管理指導計画書で管理されている以外の治療で処方されば場合は算定可能。
・特定薬剤管理指導加算2を算定するタイミングは文書で医療機関へ情報提供を行った次の来局時(他の医療機関からの処方箋を持ってきた時も可)に行う。
おわりに
特定薬剤管理指導加算は1であれば該当薬剤すべてのチェックをしなければならないし、2であれば施設基準のクリアや届け出、電話での体調確認、文書での情報提供とハードルは高めですが、しっかりやれば算定できる点数なので、患者の治療の質の向上にもつながるのでがんばっていきましょう。
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